OECDの中の日本の労働生産性(2005年はガラケーだった)

今から16年前の2005年、自分の周りにはどんなデジタル機器が並んでいたでしょうか。

携帯はまだガラケー
WindowsXPがまだまだ現役
iPhoneはまだ発売されておらず、私の大学では使えないMacintoshがいつまでもカラフルな円をクルクルさせていました。
SNSはmixiが産声を上げた程度で、本名を晒すFaceBookにはどこか嫌悪感があったのを覚えています。

よく調べていませんが、CPUの処理速度、パソコンのストレージ容量、通信速度に至っては、今となっては当時の何倍になっているか分かりません。
GoogleDriveもない、LINEもない(メーリスなるもので連絡)、suica専用改札が新宿駅にようやく登場、ETC利用率32%、そんな時代です。

そして、16年前の2005年とは比較にならないスペックの機器と便利なサービスが私たちの身の回りに溢れているのが現在です。
これらを駆使して仕事をすれば、"労働生産性"などは上がるに決まっています。

今回は労働生産性の話です。

https://www.hrbrain.jp/media/labor-management/labor-productivity1より

 

IT化でどれだけ生産性って上げられるだろうか

私が労働生産性に注目するようになったのは「農業のIT化で労働生産性を上げよう」という記事をどこかで見たからです。
ちょっと詳しい数値が書かれたサイトが見つからないのですが、
農業は生産性が2.5(単位忘れました)くらいで、サービス業平均が7くらいで、不動産や金融が20とかだったと記憶しています。
でも、(体感的にですよ)「今まで100本の人参取れた畑にIT活用したら300本取れるようになるか?」と疑問だったのです。

日本の農業の労働生産性を、せめてサービス業の平均くらいには高めたいと思っていましたが、
ITとかではなく、土地の集約とか産業プロセスの変換が行われなければ、2倍はできても3倍は無理なんじゃないかな~と。
(ここからは農業の労働生産性の話ではなく、日本全体の労働生産性の話です)

と言った流れで「じゃあ世界の労働生産性はここ15年くらいでどのように推移したんだろう」と思ったわけです。

 

世界の労働生産性の推移

世界の統計2021 が統計局より出されています。
https://www.stat.go.jp/data/sekai/0116.html#c13

この中にOECD加盟国の2018年の労働生産性ランキング(12-8 OECD加盟国の労働生産性)が載っています。
これは「国内総生産(GDP)を就業者数で除したもの」の値になります。

1位アイルランド(178.8)、2位ルクセンブルク(153.4)、3位アメリカ(132.1)、、、
日本は36か国中で21位(81.2)です。

労働生産性を国際的に比較するのは難しいから正確なランキングか分からない。
と言う人もいます。
確かにそんなもんかなと思う所はあります。
ルクセンブルクは金融多そうだし、アメリカはIT多そうだし、(アイルランドは知らないけど)
今を切り取ってもねぇ(笑)と思っていました。

なので計算してみました。
労働生産性

 

日本の労働生産性が伸びなさ過ぎている

結論から言うと、
日本の労働生産性は2005年から2018年までの13年間で127.66%向上しました。
これは、OECD36ヶ国中35位の伸び率です。(ちなみにビリの36位はギリシャ)

2005年から2018年の労働生産性伸び率トップ3は
1位リトアニア(213.8%)、2位アイルランド(207.5%)、3位ラトビア(203.9%)、、、

伸び率で計算するのはおかしい!2005年がすごい低かっただけじゃないのか!
と思う方もいるかも知れません。私もそう思います。

では、これならどうでしょう。
2010年から2018年の労働生産性伸び率トップ3は
1位アイルランド(174.4%)、2位ラトビア(150.1%)、3位リトアニア(144.6%)、、、35位日本(114.2%)、36位ギリシャ(113.1%)

直近の2017年から2018年の1年間労働生産性伸び率トップ3は
1位エストニア(106.1%)、2位ラトビア(105.6%)、3位アイルランド(105.2%)、、、34位日本(99.7%)、35位スペイン(99.7%)、36位ポルトガル(99.4%)、減ってる??

 

僕たちは気絶していたのか?

伸び率がOECD内で最底辺なのはとても悲しい事でありますが、
本当に悲しいのは2005年からの13年間で、これほど人・物・通信が高速で移動できるようになったのに、労働生産性は28%"しか"向上していないことです。
農業で言えば2005年は100本収穫していた人参が、IT化に13年間取り組んだ結果128本収穫できるようになりました!
という事です。

最近では、生産性だけにこだわらない自然と共存した生産方法が注目されていますが、13年前はどうだったでしょうか。
生産性だ、効率化だ、自動化だ、と言ってはいなかったでしょうか。

「IT化とかしないぜ、うちはナチュラル思考だ。」なんて言わずに、真面目にず~~~~っと「IT化やる!」と言ってきた結果がこれです。

これだけスマホが普及し、人・物・通信が高速で流れ、新しいサービスが出てきてもなお、13年間で128%しか労働生産性を上げられないのか日本。
これからデジタルすごい頑張っても、10年間で200%くらいまでしか上げられないじゃないか。
他の国は今後10年間で、"人"の労働生産って概念無くなっちゃうぞ。

日本を動けなくしているのは何でしょうか。
どこかに巨大なボトルネックがあるとしか考えられません。