漆芸実践講座第3回レポート
漆芸実践講座第3回を実施しました。
今回作成する物と第2回の進捗具合を復習
小皿:生漆で拭き漆をする。第2回はやすりで整えて拭き漆をした。だんだん趣深い色になってきた。
スプーン小:くぼんでいる所をベンガラ赤を混ぜた漆で塗った。今回は前回塗っていない所を塗るのだろう。
箸:前回は何もしていない。今回は多分何かするだろう。
ぐい飲み:顔料の赤を加えた漆で拭き漆をやった
スプーン大:顔料の赤、顔料の黒を加えた漆でそろぞれ拭き漆をやった
さて、始まりました、第3回です。
今回もまたやすりから始まります。
ようやく分かってきました。
拭き漆は以下の工程を繰り返していくのですね。
やすりで整える→拭き漆する→乾かす
小皿、ぐい飲み、スプーン大をやすりで整えていきます。
どこをやするかって、ムラになっている所、けば立っている所をやするのですが、、、
正直、私にはどこをやった方が良いのか見分けがついていませんでした。
なんとなく全体的にやすってみた、と言うのが正直な所です。
拭き漆
(刷毛の突き出しは省略します)
小皿、ぐい飲み、スプーンの順に拭き漆をしていきます。
拭き漆は前回と同じですが、前回使って余った漆を取っておくことが出来ます。
空気に触れなければ乾かないので、少量でもラップに包んで置いたり、小さなおちょこに入れてラップで蓋をすれば固まりません。
漆はほぼ捨てない
絵具や墨汁は使用後に水で流してしまいますが、漆は基本的には捨てずに取っておきます。
(これは私の推測ですが)
生漆は下地用から仕上げ用までランクがあり、仕上げ用はとても高価になります。
なので、余っても他の用途で利用するという考えが定着しているのかも知れません。
まぁ、水に溶けないからってのもあるかも知れませんが。
さて、スプーン小を見たら、端の部分がわずかに欠けていました。
木工であれば、欠けている部分を削って周りとなじむようにしていくと思います。
でも、漆は欠けている部分を足すことが出来るのです。
漆は足し算
木工は素材となる木を削って形を整えていきます。
漆芸は素材に漆や漆に何か混ぜたものを加えて、形を整える事ができます。
今回、欠けている部分には漆と砥の粉(とのこ)を混ぜたものを充填させる事が行われました。
砥の粉とは:簡単に言うと石を砕いて細かく粉末状にしたもの
https://asahikawa-mokkocenter.com/?p=3461
漆に砥の粉を混ぜます。
結構じゃりじゃりになるくらいの配分で混ぜたら、ヘラで書けている部分に充填します。
木地と色が変わってしまっても構いません、この上から塗りを行うからです。
砥の粉と木地をくっつける漆の接着剤の特性が使われるんですね。
不純物をこす
スプーン小用に漆とベンガラ赤を混ぜました。
ここから、不純物を取り除くために和紙を複数枚使ってこしていきます
和紙の上に漆を入れまして、和紙を絞ってこしていきます。
ここでこの作業専用の台?が出てきました。
あまり強く絞ると不純物が出てきてしまいますので、緩めに絞ります。
漆が出てきて止まったら、また少し絞って出していく。
この丁寧さが工芸であるな!と興奮しました。
(ちなみにもともと不純物があるようには見えない)
「伝わるかな、この「こす」って作業。。」と思いながらサイトを見てたら、同じ(ような)作業をしている画像を見つけました。
https://www.tamagawa.ac.jp/SISETU/kyouken/jomon/urusi.html
こちらのサイトです。
分かりましたか?
画像だけ拝借すると、こちらの方。
縄文時代からやってること変わらないのか!?(服装とかはもちろん違いますよ!)
と思いましたが、このイラストは現代から縄文を想像して作っていますからね、本当の所はどうなんでしょ。
多分、この丁寧さは見た目の綺麗さもさることながら、口当たりとかを想像できないと到達できない領域だと思います。
指や手のひらだけでなく、唇や舌の触覚でも滑らかさを確認している。
すごいことだよこの感覚は、と思います。
塗り作業
スプーン小の第2回で塗った所に持ち手を付けて、他の部分を塗っていきます。
漆の塗りの基本はなんでしたっけ?
そう!薄く!
ですが、どうも私は厚く塗る傾向があり、更にどこが厚いのか分からないという、時代が時代ならさっきの絞る台でどつかれるレベルの不出来な生徒です。
私が塗って先生に見てもらって、ここが厚いと言われて、塗りなおすも別の部分が厚くなるループを繰り返しました。
刷毛のコシと、刷毛を動かすスピードを調整して薄く塗る。という、え?出来ないですよ?を行います。
大丈夫です。最終的には先生に結構手直しを入れて貰えます。
箸に炭の粒子をまぶす
はい、第3回の終盤になってまだ触っていない物がありますね。
箸ですね。
箸は結局、私も仕上がりがどうなるのか想像つかないのですが、やった事をそのまま記載します。
まずは、下地とする漆を塗ります。
下地用とはつまり、その上に何か塗ったり張ったりするので、漆が塗られていれば良いのです。
ここで出てくるのが下地用の漆、つまり他で余った漆などをとっておいたものです。
貴重な素材ですからね、漆は。
さて、下地用の漆を塗りつけたら、その上に藁を炭にして粒子を0.5mm?にそろえた炭をまぶしていきます。
ここで漆職人の特性を言います。
漆職人は粒子整えがち
漆職人は色んな素材を細かくして使いますが、その繊細さから粒子を整える必要があります。
ただ、繊細過ぎて粒子の整える幅が細かすぎて、ぱっと見で違いが分かりません。
珪藻土を細かくしたものを見せて貰いましたが、およそ見た目では違いが分からない。
多分、粉を集めた感覚とか、落とした感じとか、視覚ではない所で感じ取っていると思います。
そんな細かい炭の粒子をパラパラと箸に振りかけました。
見た目は、箸に細かい黒い砂が沢山ついている感じです。
と言った所で、第3回の講習は終了となりました。
箸についてはこれからどうなってしまうのか、本当に分かりません。
多分、じゃりじゃり炭を噛むことにはならないと思うんですが、、
第3回終了時はこちら
拭き漆は大分ツヤが出てきました。
次が最終回!!