漆芸実践講座第1回レポート


縄文時代から使われていた日本工芸の至高にして、
知名度の割にはほとんどの人が触れた事のない魅惑の素材です。
(安易に触っていはいけません!かぶれるから!)

実は高野町に漆職人夫婦がおります。

伴野漆工藝製作所
https://tomonourushi.wixsite.com/home

夫先生は漆器を作る職人さん。
妻先生は沈金をする職人さん。
今回、漆芸実践講座という全4回の漆器を作成する講習に参加しましたので、そのレポートになります。

初心者が少し体験させてもらった内容なので、間違っていたら色々すみません。

道具の説明

漆芸にはこれまで使ったことの無い道具が色々出てきます。

まずは漆。
今回使ったのは生漆(きうるし)で、木から出した漆をそのままパック詰めになったものです。
このパック詰めは中身がどれくらいあるか見えるから使いやすいらしく、初心者で購入するならパックがオススメらしいです。

漆の産地はほとんどが中国産だそうです。
日本産もありますが、値段が非常に高いのと、粘性が低いから中国産の方が作りやすいとのこと。

刷毛

はい、次は刷毛。
刷毛はもちろん漆用の刷毛になります。
私は建築用の刷毛しか知らなかったので、随分と小さく感じます。
漆は細かくて繊細です。

刷毛はコシが非常に強くなっています。
刷毛の毛は、人毛が2本と、馬の毛が1本にになっています。
刷毛全体に毛が入っていて、へたってきたら木を削って新しい毛を出す仕組みです。
毛が長く入っているので、毛が抜けずらく、コシが強くできるだそうです。

ヘラ

よし次、ヘラです。
てっきり漆塗りは刷毛を多用するかと思いきや、後で説明しますが、漆職人はヘラ使いが大変にお上手です。
職人はそれぞれの道具をまるで自分の手の延長のように扱いますが、漆職人はヘラが手の延長です。

ヘラは漆を混ぜたり、集めたりするのに使います。
ヘラについた漆を集めるために「2本ベラ」と言われるダブルヘラ遣いになったりします。

ガラス(まな板)

これ見えるかな、ガラス。
絵具で言うパレット的な役割で漆を伸ばして乾燥させたり混ぜたりに使います。
「まな板」と呼ぶようで、ガラスではなくとも漆を吸い込まない(十分に吸い込ませた)木の板でも大丈夫なようです。

このガラスの上で、使う分だけ漆を出して、薄めたり。
刷毛についた油を漆を置き換えたり。
油を使ったら、揮発性の高いエタノールなどですぐに拭きます。
漆はすぐに掃除します。

木地

はい、ラスト!木地(きじ)です。
今回は、小皿、ぐい飲み、スプーン大小、箸を木地として用意いただきました。
漆器の土台となる木地は、漆器用に職人さんが作っています。
特徴は薄くて軽い事です。

拭き漆をする時は、針葉樹よりも広葉樹の方が漆が入り込まなくてよいらしいです。
今回用意してくれた木は、、、忘れました。

と言う訳で、道具はこのくらいで終わりです。
他にも細かくは色々ありますが、そろそろ実技の方に入っていきましょう!!

木地をやする

さっそく紹介していない紙やすりが出てきました。
私もてっきりすぐに漆を使うもんだと思っていましたが、違いました。まずは、木地を整えます。

木地には細かい傷が無数に入っていまして、これを紙やすりで削って整えて行くのです。
傷には漆が強く入ってしまい、色が濃くなってしまいます。(これも味だと言っていました)

さて皆さん、紙やすりって番手があるのを知っていますか?
小さい番手は面が荒く、大きい番手は面が細かくなります。
私がこれまで使う番手は仕上げで250番くらいだったのですが、今回出て来た紙やすりは400番です。
この時点で既に細かいなぁと思っていましたが、漆器の仕上げでは5000番のやすりを使う事もあるそうで、本当に芸術品だってことが分かります。

そんな事を思いながら、木目に沿って紙やすりを動かし、小さい傷を消していきます。
スリスリ、ケシケシ。

漆をガラスに出して、刷毛の掃除

紙やすりを終えまして、ついに漆がご登場です。
ガラスの上に少し出して、ヘラで少し混ぜたり集めたりしてみます。
へー伸ばすと色が赤く変わるんですね~

と漆を弄んでいましたが、ここで小さい刷毛の登場です。
小さい刷毛はサランラップ(サランラップじゃないとだめだ!)にくるまれていました。
漆はほっておくと固まってしまうので、油を含ませて(置き換えてと言っていた)保管しています。
刷毛を使うために、今度は油を出して漆を含ませる(置き換える)作業が開始されます。

刷毛に少し漆を含ませまして、ガラスにすこしゴシゴシして、ヘラで刷毛から油をこそげ取る。
この工程を2回から3回繰り返します。
これは使う時の準備で、使い終わったらもちろん、漆から油への置き換えを行います。
これを毎回やるとは、いやいやなかなか。

拭き漆

ようやく漆の出番です。ようやくか。
拭き漆はとっても簡単です。
刷毛で漆を木地全体に塗っていきます。(入れていくという表現をしていた)
塗り漏れがあっても大丈夫、少し足りない部分は後からでも入れて行きましょう。

そして暫く乾かします。
何となく乾いたら拭きます。
漆はホコリに弱いので、繊維が抜けずらい何たら(忘れた)という紙で拭きます。

この工程を2回繰り返します。

というのを、お皿とスプーン小とお箸にやったところで時間となりました。
刷毛の漆を油と置き換えて終了です。

今回は拭き漆だけでしたが、次からは違う事もやっていくのかも知れません。
と言うのも、「ぐい飲みは赤くしようかな~」と先生がつぶやいていたからです。
どんな手法で赤くするかは考えながらやっていくとの事でした。

第1回終了時点ではこんな感じです。

ここからどんなものが出来上がっていくのか。
期待しましょう。